company foundation 2020年3月25日

企業設立 会社形態の選択肢

自分の企業や支店、スタートアップを設立したいと考える人は、どのような会社形態を選ぶかということをよく考えなければなりません。なぜならそれぞれの形態は様々な必要条件や結果、経営におけるメリットやデメリットをもたらすからです。企業の設立においてどのような法的形態がよりふさわしいか、その概略をご紹介いたします。

基本的な違い:資本会社か人的会社か


ドイツでは全ての企業およびスタートアップについて、基本的に2つの会社形態が存在します。すなわち、人的会社か資本会社かです。両者の最も大きな違いは、その法的責任にあります。人的会社では、少なくとも一人が自らの個人資産によって責任を負いますが、資本会社では個人資産ではなく、会社所有の資本によりその責任を負います。つまり資本会社とは、設立者が自らの家や貯蓄を危険にさらす必要がないよう設けられた形態といえるでしょう。会社を設立する際、個人が責任を負う必要のない法的形態を望む場合には3つの選択肢があります。

1.    有限責任事業者会社(Unternehmergesellschaft=UG)
2.    有限会社(Gesellschaft mit beschränkter Haftung=GmbH)
3.    株式会社(Aktiengesellschaft=AG)
 

有限責任事業者会社・有限会社・株式会社:その違いは?


有限責任事業者会社は、外部からの金融手段を用いることが最も難しい形態といえます。その設立はとても簡単で、必要となる資本金はたったの1ユーロですが、その少ない設立資金のため、民間の金融機関はしばしば信用貸しや助成金による支援をためらうことがあります。
一方、株式会社に対して銀行はとても好意的です。それもそのはず、株式会社の設立に際しては公証人と弁護士を雇うために何千ユーロもの費用がかかる上、資本金だけでも50,000ユーロが必要となるからです。その設立資金に比例するのはもちろん、投資家から見た時の会社の安定性であり、そのため株式会社は比較的容易に金融支援を得ることができます。
有限会社は、その中庸ともいえる法人形態です。行政上の管理にかかる費用は有限責任事業者会社と同等ですが、設立には25,000ユーロの資本金が必要です。創業者が会社設立のための複雑な法的手順に労力を割く必要がなく、一方で十分な資本金によって投資家の信用を得ることで、創業者の負担が軽減された会社形態だといえるでしょう。
 

有限会社の設立方法とは?


有限会社を設立するには、いくつかの簡単な手順を踏み、必要条件を満たさなければなりません。その流れは以下の通りです。

1.    定款と出資者契約
まず初めに必要となるのは、定款と出資者契約の両方ないしどちらか一方です。これらは設立しようとする有限会社の基本的な事項、例えば住所や会社名、主な事業目的や出資者別の出資額などを定めているものです。この内容を現実のビジネスモデルと会社のストラクチャーに当てはめるためには弁護士の協力が必要です。理想的なのはその弁護士が、会社が将来進出を考えているマーケットに精通していることです。会社設立にあたりそのような弁護士をお探しの場合はInvest in Bavariaにご相談下さい。

2.    公証人との面談
定款を作成したら、続いてこれを公証人へ持参します。公証人はその内容を出資社とともに改めて加筆修正して完成させ、最終的にその文書に署名をします。この手続きをもって、有限会社は設立されたこととなります。

3.    銀行口座
公証人が文書により有限会社の設立を承認することで、設立者は銀行で法人口座を開設することができます。会社の出資者はこの口座に最低12,500ユーロの資本金を払い込みます。実際の最低設立資本金は25,000ユーロですが、国はこの条件を緩和するため別途規定を設けています。この点については後述します。

4.    商業登記
法人口座に最低12,500ユーロの資本金が振り込まれたという銀行からの証明書は、続いて公証人のもとへ送られます。この証明書が届き次第、公証人はその有限会社を登記所へ登記します。この登記をもって、有限会社の設立は完了します。

5.    営業開始
設立後、会社は営業を開始する前に管轄の役所へ営業届を提出しなければなりません。それを行わずに営業を開始した場合、罰金の支払いを命じられる可能性があります。

25,000ユーロの資本金を以下に調達するか


有限会社の設立に際して必要となる25,000ユーロの資本金がすでに手元にある人は、その他余計な出費をすることなく、直接その総額を現金で支払うことで会社を設立できます。しかし場合によっては現金だけでなく、自らの持つ物的資産の価値を根拠にその条件を満たすという手も考えられるでしょう。その場合は、それらの資産を設立しようとする会社の資本とする方法が取られます。ここでいう物的資産とは建物、土地、車、特許などその他多くのものを指します。しかしそうした物的資産に基づく会社の設立を考える場合、それらの価値は事前に第三者鑑定機関により査定してもらわなければなりません。もちろんそのためには追加で費用がかかるため、可能ならば現金のみによる設立が最もおすすめできる方法でしょう。

まとめ:有限会社とは


多くの企業がその会社形態として有限会社を選択することは、驚くことではありません。事務手続きが簡便、かつ設立のための資本金も比較的少額で、も国内外でよく認知されている信用のおける会社形態だからです。資本の規模から見れば株式会社の方がより信用度が高いと言えますが、当然設立にはより多くのコストを必要とするのも事実です。設立後の経営についても株式会社の場合はより厳格な規定があり、多くの場合、会社の経営上必要な費用は多くなります。一方、有限責任事業者会社という形態は株式会社や有限会社に比べあまり知られていません。資本が小規模で済むことから、ビジネスパートナーからその信用度において嫌煙されることもあります。さて、資本会社の設立を考えない人には、人的会社という選択肢があります。

パートナーシップ(人的会社)


人的会社には、以下に挙げる4つの形態があります。

1.    民法上の組合(Gesellschaft bürgerlichen Rechts=GbR)
2.    合名会社(Offene Handelsgesellschaft=OHG)
3.    合資会社(Kommanditgesellschaft=KG)
4.    パートナー企業(Partnergesellschaft=PartG)

最後の4つ目は特殊なケースで、医者などある特定の業種にのみ適応され得るものなのでここでは詳しく触れませんが、これらすべての形態に共通するのは、社員が個人的に自らの私有財産によって会社の責任を負うという点です。そのため会社の経営において負債が発生した場合は、代わりに社員の個人資産が差し押さえられるということになります。
この4つの形態のうち群を抜いて設立が容易なのは、民法上の組合です。これはあまりにも設立が簡単なため、仮にあなたが民法上の組合を設立したとしても、周りの人はそれに気がつかないでしょう。民法上の組合は、少なくとも2人の人間が何か共通の目的を達成するため手を組めば、それで設立されたことになります。例えばレストランで、ある人が同伴者に食事をおごると決めたとすれば、それでもう一つの民法上の組合が成立するのです。このように民法上の組合が設立するためには口約束だけで十分で、公証人も書面での契約も必要ありません。しかしながら、民法上の組合が法的に機能するのは全社員が一同に会している時のみで、これは会社の形態としては(社員個人が責任を負うという点も含め)非常に魅力に乏しいと言えます。
合名会社および合資会社も、法的権力に関する規定でいえば民法上の組合と同じですが、これらは契約により成立するものです。合名会社においては、社員全員がその総員の個人資産により会社の賠償責任を負う必要がありますが、合資会社はその責任を分散させることができます。すなわち、最低でも一人の社員がその個人資産により会社の賠償責任を負い、その他の社員は限定的な賠償責任を負うに留めることができます。このように人的会社は資本会社と異なり法的に明確な規定がない部分が多く、したがって多くの場合、会社の設立計画にふさわしい選択肢とはいえません。

総括


統計上も、会社設立に際して、その法人形態として資本会社が最適であり、実際ドイツでは多くの企業が資本会社を選択するということが明確になっています。2017年の時点で10人以上の従業員を擁する国内企業はおよそ371,000社あり、そのうち約200,000社は資本会社です。次に多いのは人的会社で約69,000社でした。その他のおよそ102,000社は、個人事業(66,000社)または外国企業などその他の法人形態(36,000社)をとっています。

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