人工知能はどの分野でメリットがある?

世界はデジタル化し、知能は人工化する-社会のデジタル化が加速する中で、企業は人工知能(AI)への関心をますます深めています。多くのスタートアップがAIの活用を試み、バイエルン州デジタル化推進センターはAIを将来の標準的な技術と位置づけました。それはAIが高い生産性および新たなビジネスフィールドの構築、そして事業プロセスの最適化を実現すると考えられているからです。それにしても、どの産業分野が最も恩恵を受けるのでしょうか?AIの活用がどの分野で既に行われているのか、あるいは行われつつあるのでしょうか?

IBMのワトソンにしてもマイクロソフトIoT&AIインサイダーラボにしても、バイエルン州のグローバル企業は既にかなり以前から、AIの重要性を認識していました。現在でも多くの分野でAIが使われており、その重要性は更に高まっています。バイエルン州ではどのような産業でAIが使われているのか、そしてAIを利用してビジネスを始めようとするスタートアップとどのような接点があるのでしょうか。

プロダクション4.0-デジタル時代の製造

 

AIを搭載したロボットはインダストリー4.0の実現に必須のものです。ディープラーニングが実現すれば、将来的には原材料の使用量を削減するため、製造プロセスをより最適化することができるようになります。物流あるいはタイムマネージメントでも、ネットワーク化されたコンポーネントが製造プロセスにおいて最適化を図るようになります。研究機関と産業界の協力で、包括的な解決策を応用レベルで利用できるようになります。キーワードは「クロス・インダストリー・イノベーション」です。

 

サービス業における人工知能

 

AIの活用は大きな潜在性を持っており、製造業のような従来からある産業でだけでなく、サービス業でもこの新しい技術の恩恵が期待されます。例えばミュンヘンのスタートアップe-bot7は、AIを活用した最適な顧客サービスを企業に提供しています。バイエルン州企業がどのようにAIを活用しているかについてはこちらをご覧ください。

モビリティ分野における人工知能 - A地点からB地点へ

 

バイエルン州はBMWやアウディがあり、自動車産業の強い地域です。自動車の製造だけでなく、制御システムに関わる部分でもAIの活用が進んでいます。新しい運転アシストシステムのおかげでドライバーに代わって自動車そのものが制御も行い、危険を察知すればブレーキがかかり、高度なセンサーで事故が避けられます。自動駐車機能のついた車は時に非常に便利です。BMWは既に数年前からIBMと協力し、それぞれの専門知識をつなげて高度なアシストシステムおよび安全システムを研究しています。

しかし、これで十分とは言えません。バイエルン州の自動車業界は新たなコンセプトに向かっています。BMWは2021年までにドライバーがほぼ何もしなくていいような、人工知能によって自律的に走る車を完成させたいとしています。アウディもミュンヘンのオートノマス・インテリジェントドライビング・イニシアティブと共に高度な運転システムの導入を目指しています。バイエルン州の自動車業界はAIも活用しながら持続可能な社会に貢献しています。

健康を新たに考える

 

同様に健康産業でもAIを効果的に利用しようとしています。最近ではシーメンス・ヘルスケアフラウンホーファー医用画像演算研究所が2017年からの4年間にわたる共同事業に署名しました。このアライアンスはAIの助けを得て治療方針の決定に活かそうとしています。例えば癌のような非常に重篤な病気の場合、AIが心理的な変化を素早く検知して、自殺を回避するために適切な対応が受けられるようにする、といったようなことが考えられます。これには、利用可能なデータに基づいて健康状態を記録したプロフィールが重要な役割を果たします。

また、人工知能を活用する若いスタートアップを支援するためにニュルンベルクおよびエアランゲン地域は「デジタル・ヘルス・ハブ」を設立しました。ここでは既にある基盤をより強化し、受け継がれてきたヘルスケア産業の流れをデジタル政策によるビックデータやAIを導入で勢いづけようとしています。

バイエルンのAI関連支援

 

バイエルン州の企業がこれによって将来も技術的発展による恩恵を受けられるよう、更に成長できるよう、州政府の「バイエルン州デジタル化政策Ⅱ」の枠組みから人工知能に関するイニシアティブが誕生しました。州政府は人工知能に関する積極的な取り組みや、そこで生まれたネットワークを支援しています。

AIの専門知識を有するフラウンホーファー研究所のネットワークはバイエルン州にも広がっていますが、今後それが更に拡大されます。認知研究に関する新たなフラウンホーファー研究所がミュンヘンに、またガーヒングの研究キャンパスにも新たな拠点の建設が予定されています。インゴルシュタットには「つながるモビリティのための応用センター」が新たに整備され、他にもヴュルツブルクにテレマティーク、ガーヒングには認知の安全性に関する研究拠点、エアランゲン・ニュルンベルクに機械学習とシグナルに関する研究所や、アウグスブルクとバイロイトにブロックチェーン技術の施設と、予定されています。

更にバイエルン州の大学に対しては人工知能研究の専門性を高めるため、バイエルン・デジタルⅡのコンセプトに基づいて、州内各地の大学に新たに教授31名が採用される予定になっています。ミュンヘン工科大学では「ロボティクス・認知・知能」に関わる新たな修士課程が準備されるなど、技術系学生の将来のためにも新たな学習機会を増やしています。

研究機関と大学の連携は現在進められているBRAINキャンパス(Bavarian Research in Artificial Intelligence Network Campus)計画によって強化されます。この取り組みによって新規あるいは既存の各研究機関が連携を強化し、国際的にもより認知されることを目指しています。

フラウンホーファー研究所の拡張や大学への支援事業、BRAINキャンパス計画などで今後5年間にバイエルン州政府は2億8千万ユーロの予算を既に計上しています。