IT-Security 2018年5月03日

ITセキュリティ:バイエルンのスタートアップ企業と可能性

連邦憲法擁護庁の最新の推計では、サイバー攻撃によるドイツ企業の損害は年550億ユーロにのぼります。“安全第一”をモットーにITセキュリティ分野のバイエルンのスタートアップ企業は、この損害を少しでも減らしたいと考えています。これらのスタートアップ企業の革新的ソリューションのおかげで、企業はアイデンティティーセフト、恐喝、スパイ攻撃から守られています。全てはデジタル化への移行を進めるため、サイバー犯罪について頭を悩ませずに済むようにするためです。

そのため、ITセキュリティは非常に幅広い分野に関わります。複雑で精密なIndustrie4.0のネットワーク、ビックデータやIoTの取り扱いなど、デジタルでの作業を安全にするための様々な対策が必要です。バイエルン州のスタートアップ企業が提供するソリューションは、恐喝、産業スパイ、アイデンティティーセフト対策、オンライン振込で使用する顧客番号の安全確保、知的財産保護など多様です。スタートアップ企業は持ち前のフレキシビリティーで変化する脅威に対応し、企業の助けになっています。両者の密接な協力関係によって、スタートアップは企業の要求をより正確に把握し、それに合わせた対策を提案することが可能になります。

 

躍進する企業

 

バイエルン州の先駆的な提案には例えば以下のようなものがあります。

Crashtest Security:
中小企業向けのセキュリティテスト:自動、リアルタイムでサイバー攻撃に対する脆弱性をテスト。

Boxcryptor (Secomba社):
Dropbox, Google Drive, One Driveなど、エンド・ツー・エンド暗号を利用した完全な“Made in Germany”のクラウドセキュリティ対策。データはクラウド同期前からゼロ知識で暗号化。

Alyne:
ITセキュリティとレグテック(RegTech=Regulation + Technology)の融合としてサース(SaaS=Software as a Service)によるソリューションを提供。企業のITセキュリティ、リスクマネージメント、更にコンプライアンスを強固にし、その到達度を測定。

バイエルン州の成功した新興企業の例として、機密書類の共同作成をクラウドベースで可能にするプロバイダーBrainloop社や、世界中で公共機関や企業をサイバー攻撃から保護しているRohne & Schwarz Cybersecurity社などが挙げられます。


スタートアップへの提案と交流

 

バイエルン州は様々なプログラムや機関の協力を得て、スタートアップの成長を支援しています。その中のひとつ、セキュリティネットワーク・ミュンヘン(Sicherheitsnetzwerk München) はITセキュリティ分野で業界のネットワークを強化し、企業と研究機関の連携を促進するようバイエルン州経済省から業務を委託されている団体です。セキュリティネットワーク・ミュンヘンは毎年 TechDays というイベントを開催していますが、2018年の“TechDays“は5月13日・14日にミュンヘンのMuffatwerkで 「デジタルイノベーション」をモットーに行われました。革新的なスタートアップ、世界で成功している企業、トップクラスの研究者が集い、業界の最もクリエイティブなシーンが展開されます。対話を重視したイベントは、来場者と業界人をつなぎ、ディスカッションのきっかけを生み出します。パネルディスカッション、テクノロジー・トーク、ワークショップ、ライブ・ハッキング、業界のリーダーらが出席する質の高いシンポジウムがあり、更にスタートアップのための展示エリア、革新的な製品が見られるデモ・ゾーン、大学や研究機関による最新のプロジェクトを集めたイノベーションギャラリーもある多彩なプログラムが提供されています。