インダストリー4.0 2017年7月26日

ICTとIoT:経済成長のキーテクノロジー

ビールや自動車だけがバイエルンじゃない。情報技術とコミュニケーション技術でバイエルン州はまさにヨーロッパの頂点にある。デジタル化を更に進めるために多くの企業が技術開発に投資している。特にここ数年、バイエルン州で数を増やしているIoTラボがその拠点になっている。

ICT産業集積地としてのバイエルン州

 

企業間連携が非常に進んでいることから、多くのICT企業がバイエルン州を拠点に選んでいる。例えばミュンヘン、アウグスブルク、ニュルンベルクのメディカル・バレーEMNだけで、4万社以上のICTおよびメディア関連企業があり、そこで30万人以上が働いている。企業の多様性にも注目したい。スタートアップから、中小・中堅企業、そして国際的な巨大企業までがある。

 

 

デジタル化された未来にはIoTラボがある

 

新しいソリューションへの取り組みが、様々なIoTラボで集中的に行われている。バイエルン州には既にそのような多くのIoTラボがある。最も有名なのがミュンヘンのハイライトタワーにあるワトソンセンター、IBMのグローバルIoT本社だろう。ここでは開発者、デザイナー、研究者が新世代のネットワークソリューションに向けて効果的な取り組みを進めている。

そのすぐ近くではマイクロソフトがIoT&AIインサイダー・ラボで更に別のオプションを提供している。ミュンヘンのラボで、遂にIoTとAIが組み合わされるのだ。開発者などの専門家と共に、スタートアップや大企業が提案する新たなデジタル製品の市場投入を、これまで以上にスピードアップしていく。

IoTで革命を起こそうと自社でラボを抱える企業は増え続けている。

  • インテルは2014年にIoTイグニション・ラボをミュンヘンに開設した。ラボの最初の事例だ。同社の欧州チームはエネルギー、工業、スマート建築の分野横断的な解決策に取り組む。
  • 中国のテレコミュニケーション企業ハーウェイは昨年欧州初のオープンラボをミュンヘンに開いた。パートナー企業と共にIoT、クラウド、ビッグデータのソリューションを開発している。
  • フォルクスワーゲンも同じくミュンヘンのIoTパイオニアのひとつに数えられる。最初のデータ・ラボをミュンヘンに開設したのが2014年だ。本社のあるヴォルフスブルクではなくミュンヘンにラボを置いたのは、自動車産業の協力企業やスタートアップが集まる適地だったからである。
  • SAPは企業や公的機関が新たなソリューションの恩恵を得られるよう、IoTの革新的技術で支援している。同時にパートナーやスタートアップのネットワークを拡大していくことも期待されている。


IoTの価値を認めているのは伝統的なIT企業だけではない。例えばコンサルティング会社のアクセンチュアもインダストリアル・インターネットにフォーカスしたIIoTイノベーションセンターをガーヒングに開設した。更に、ガーヒングをモデルにして、上海やデトロイトにも同様のラボを展開中だ。


ICT産業と並んで、これらIoTラボの存在は、バイエルン州が如何にデジタル産業のキーテクノロジーに注力しているかを内外に示すものだろう。