スタートアップに魅力的な創業地バイエルン州

スタートアップや起業家にとってバイエルン州は魅力的な場所のようです。特にニュルンベルクやエアランゲン地域、アウグスブルク市、あるいはミュンヘン市には多くの新しい会社が集まっています。この3か所について何が特別なのか、そしてどんな新しい企業があるのかを紹介しましょう。

有名な投資家が理由もなく投資することはほぼないでしょう。バイエルン州では若い起業家にとって実り多い場所です。バイエルン州での企業がなぜ成功の近道なのか、それはそれぞれの都市の持つ長所が関係しています。バイエルン州の大都市アウグスブルク、ミュンヘン、ニュルンベルクにその例を追ってみましょう。


アウグスブルク

アウグスブルク・アルゲマイネ紙がレポートしているように、フッガー家のお膝下であり、起業家の街でもあるアウグスブルクでは2018年中に75のスタートアップが生まれました。シュバーベン行政区の中心であるこの街を企業にとって魅力的なものにする、多くのファクターがあります。
一つには非常によく整備されたインフラがあります。アウグスブルクからは高速道路へ直接アクセスできます。更に事務所物件や用地の不動産価格が比較的低いことが挙げられます。また、既に何年も前から分野横断的なネットワークが構築されており、商工会議所や大学、雇用庁、インキュベーションセンターなどの交流も盛んで、協力関係が進んでいます。 
起業家や起業家を目指す人たちのための定期的なイベントも多数あり、例えばRocketeer-Festivalでは既に多くの経験を積んだ企業から若い企業までが関心のある人と意見交換の場を持っています。既に21年の歴史を持つ環境技術創業センター(UTG)では既に何社かの有望企業が育っています。また2017年にはシュバーベン・デジタル創業センター(Digitale Gründerzentrum Schwaben = DZ.S)も誕生しました。
アウグスブルクにはスタートアップにとって特に重要な、ファイナンスのパートナーもあります。起業家への支援を行うLfAバイエルン支援銀行KfWバンクの他、創業間もない企業に資金援助する経営者資本フォーラム(Forum Unternehmerkapital)もあります。これらのプラスのファクターが効果を発揮しています。中でも特筆すべきアウグスブルクの2社と言えば、ConntacSandheldenです。Conntacはテレフォニカなどの有名企業のアプリを開発、Sandheldenは内装、中でも砂を原料にして浴室・洗面・手洗い設備を3Dで制作するメーカーとして活躍しています。
 

ミュンヘン

バイエルンの州都であるこの有名なメトロポリタンには、もちろん多くの起業家を惹き付けています。少なくとも、数の上では正しいでしょう。ドイツラジオ放送はミュンヘンには1000以上のスタートアップがあると報告しています。起業と新規創業に関してはこの街がトップだと言えます。ミュンヘンで創業したFlixbusCelonisはその中でも評価額10億ドル以上と言われるユニコーン企業です。とはいえ、州都におけるスタートアップの歴史は新しいものではありません。既に1999年にはミュンヘンでワイヤーカード社(Wirecard AG)の前身、InfoGeniE社が誕生していました。ワイヤーカード社は私たちのスタートアップキャンペーンの成功例のひとつであり、2018年の9月にDAXに上場を成し遂げました。そして、今のスタートアップシーンの再注目株はProGloveです。このミュンヘンの会社は、工場で使うグローブをスキャン技術と結び付けました。直近で4千万ドル超の投資をしたボストンのプライベート・エクイティ・ファンド、サミットパートナーズから、2014年に創業したProGlove社は総額5千万ユーロの資金を得ました。他にも次のような融資機関から資金を得ています。
•    Intel Capital:クロアチアの投資会社
•    Getty Lab:サンフランシスコのベンチャーキャピタル
•    Bayern Kapital:LfAバイエルン支援銀行が運営するベンチャーキャピタル
•    Deutsche Invest Capital Partners (DIVC):2006年にミュンヘンで創業の資産管理会社Intel Capital


何故これほどの規模の投資がミュンヘンの比較的小さなスタートアップに行われるのでしょう。その一つの答えはミュンヘンが有する企業立地の要素です。ミュンヘンは伝統的な工業集積地です。そのことがB2Bビジネスを行うスタートアップの関心を呼んでいます。ここで生き残るためには大企業との関係が不可欠です。アリアンツ保険やミュンヘン再保険、シーメンスなどのような企業があるミュンヘンは、そのようなスタートアップにとって拠点を決める際に考慮される場所です。その上で各分野に特化した、あるいは分野横断的なネットワークがスタートアップ同士、あるいはスタートアップと既存企業の橋渡し役となっています。創業センターやインキュベーションの他にBMWのBMWスタートアップガレージもあれば、州政府が直接関わっているBayStarUpのような支援組織もあります。また、ミュンヘン工科大学やミュンヘン大学も起業家向けの特別なプログラムを設けました。ミュンヘン工科大学の起業家ネットワークUnternehmerTUMでは例えば新規創業したmaiot有限会社と連携しています。この会社は2018年半ばに創業し、機械の故障を事前に察知するソフトの開発をしています。miot社の最新プロジェクトのひとつには連邦交通省から数十万ユーロの補助金が出されています。同社はミュンヘン交通局との共同事業で、ドアやエアコンの故障を事前通知して、適切な時期に交換することができるような事前予告システムを100代以上のバスに設置しました。  

ニュルンベルク

「医療のホットスポット」と言えばバイエルン州の真ん中、中央フランケン地方です。ニュルンベルク・エアランゲンのメディカルバレーにはおよそ180の医療系研究開発企業が入居しています。最も新しいスタートアップは2016年に創業したポータブル・ヘルスケア・テクノロジーズ社(Portabiles HealthCare Technologies GmbH)です。そしてかつてはスタートアップだった2007年創業のChimaera GmbH、更にグローバル・コンツェルン、シーメンス社から生まれたHealthineers GmbHもここに見つけることができます。この場所には医療関連の競合が多数同居しています。ポータブル・ヘルスケア・テクノロジーズ社は慢性的な運動機能障害を持つ患者に対して、リアルタイムで医学的な歩行分析を行えるモバイル・センサーシステムを開発しました。長期にわたる観察で症状の悪化を認識し、転倒の危険を減らすことができます。Chimaera社は創業以来、医療分野の画像処理ソフトの開発と改良に従事しています。同社はエンドユーザーに対する解決策だけでなく、B2Bビジネスも行っています。Chimaeraの全てのプロジェクトで深層学習やAIを活用しており、それがこの会社のキーテクノロジーです。ニュルンベルク市では既に進出している企業に関わらず起業家に積極的にネットワークの機会を提供しています。毎年ニュルンベルク・デジタル・フェスティバル(旧ニュルンベルク・デジタルウィーク)やデジタル・テックサミットが開催されています。更にルドルフ・ヴェールとダグマー・ヴェールというドイツで最強の2人のビジネスエンジェルがここには居ます。ディール・ベンチャーズ社と共にドイツでも有数のベンチャーキャピタリストが居るのがニュルンベルクです。他にも前述のBayStartUPが設立間もない会社の成長支援のため、ニュルンベルクにも事務所を構えています。


なぜバイエルンは起業家にこれほど魅力的な場所なのか


それぞれの地域が独自に持つ魅力に加え、バイエルンは州全体として政策、あるいは経済界から多くの支援プログラムが用意されています。特に充実しているのがネットワークシステムで、既存企業と新興企業が共存していくだけでなく、活発な意見交換のできる生産的な交流の場があります。知名度を高めることができる、あるいは経験を積むことができる、更には補助金を獲得できるような、革新的なスタートアップ向けの定期的なコンペが開かれています。例えばスタートアップのためのバイエルン・ビジネスプラン・コンペは既に20年以上の歴史があります。数多くのアクセラレーターと創業センターもバイエルンのアントレプレナーシップに貢献しています。これらすべての相乗効果により、バイエルン州はドイツの中でも有数の、起業家に最適な環境を提供しています。