バイエルン州のEヘルス:バイエルン州の企業支援策

バイエルン州が経済界を率いるリーダーであることは、これまで様々な調査結果が証明してきました。ライフサイエンス分野、特にデジタルヘルス部門におけるスタートアップ拠点として、バイエルン州の人気が益々高まっています。エアランゲン市のデジタルヘルス・ハブやロシュ、プラグ&プレイ、サノフィと共同事業を行っているミュンヘンのアクセラレーターCreasphereがあるから、というだけではありません。この環境がスタートアップに与える効果について、Eヘルス分野で活躍中のバイエルン州の様々な企業を例にご紹介します。

最初に:Eヘルスとは?


デジタル化は医療だけではなく、全ての業界に影響を与えています。重要なデータを蓄積し、ネットワーク化することで効率性と安全性が高まり、新しい診断・治療法を実現することができます。健康関連産業におけるデジタル化を総称してEヘルスと呼びますが、これにはドイツ連邦保健省による明確な定義づけがあります。

「Eヘルスは、現代の情報通信技術(ICT)が可能とする患者の治療・看護方法を応用することを指す。Eヘルスは、情報を電子工学的に処理し、安全なデータ接続を介して情報をやりとりし、患者の治療およびケアプロセスをサポートできる、ICTをベースとした様々な活用方法の総称である。例えば、電子保険証によって可能となる医療データのやり取りや、緊急データ、投薬計画、また患者の電子記録及び遠隔医療の活用を意味する。機密性のある健康情報は、安全な情報通信ストラクチャーを介して伝達される。」


現場におけるEヘルスの意味とは、デジタルソリューションの力を借りて医療・介護従事者と患者の日常業務・活動を楽にするということです。まさにこの課題に取り組むバイエルン主の企業を紹介します。

neolexon: それぞれに合わせた言語訓練

 


脳卒中といった脳損傷を経験した後、一から言葉を学ばなければいけないことは決して珍しくありません。その際、他のあらゆる学習プロセス同様、適切なトレーニングが重要です。これまで大勢の患者が療法士のケアを受けてきました。療法士によるトレーニング時間は限られており、それ以外には紙製の写真カードを使った自主的なトレーニングしか方法がありませんでした。neolexonのアプリでは、療法士が担当患者向けに、単語7800語、1200文とそれらに関連する写真から、適切な練習問題を作成できます。これにより、患者はタブレット端末を用いて、それぞれの必要に応じて一人でも最適なトレーニングを行うことが出来ます。患者はトレーニング時間を自由に選ぶことができ、健康状態によってトレーニング量の増減も可能で、また同時に治療もそれぞれの患者に合わせることが可能です。neolexonはミュンヘン大学の音声・言語処理研究所に所属する2人の学生が興した会社で、現在はミュンヘンのデジタル創業センターWERK1に事務所を構えています。

8sense: さよなら腰痛


ローゼンハイムのデジタル創業センターStellwerk18にEヘルスのスタートアップ8sense社があります。同社の開発した8senseクリップで日常生活に潜む腰痛の原因を見つけ、対処するものです。頸椎のあたりに洋服の上からこのクリップをつけると、姿勢に関するデータが記録されます。触覚的なフィードバックとモバイルアプリの補助により、利用者は健康的な姿勢を取り、日常生活でより腰に負担の少ない動きを身につけるようになります。 また、アプリは腰を鍛えるトレーニング方法も提案してくれます。

 

 

 

Temedica:患者のデジタルケア

 

2016年に設立されたその会社は、医療分野の多くの企業が実現できずにいた商品で成功をおさめました。同社は健康保険システムと部分的に直接連携しています。このミュンヘンの企業の製品は、治癒過程にある患者をサポートします。Temedicaに示されるデータをもとに、医者や療法士は治療方法を調整することが出来ます。人工知能や機械学習といった最先端技術を利用することによって、医師による定期的な診察や抽出検査をすることなく、長期間の患者のケアを可能にし、また医師の負担を継続的に軽減することができます。
 

 

 

inveox:保健衛生制度におけるプロセス最適化


ガーヒング発のこのスタートアップは、癌診断専門ラボの効率化に取り組んでいます。技術的または人為的ミスによる度重なる汚染や病理サンプルの紛失は、特に患者にとって大きな負担になりえます。これらを回避するためにinveoxは、採取した組織サンプルの準備から分析に至るまでの検査室業務をサポートするウェブプラットフォーム、スマートなサンプル保管容器、自動化システムを開発しました。サンプルの状態がリアルタイムで検査室、病理学者、医師に伝えられることで、システマチックな行程管理と明確なコミュニケーションが可能になります。サンプルがまだ届いていないのか、あるいは既に検査結果が出ているか、このEヘルスの新たなソリューションにより、全ての関係者が最新情報を得ることができます。

VisionHealth: 肺疾患に新鮮な空気を


吸入器に頼っている慢性的呼吸器疾患者の為に、VisionHealthはKataという名前のデジタルプラットフォームを作りました。スマートフォンのアプリや人工知能、拡張現実、機械学習やコンピュータビジョンを組み合わせることで吸入器の効率性を分析します。これによって患者は、偶発的なトラブルへの早急な対応と、吸入器の効果的な使用方法についてトレーニングやアドバイスを受けることが出来ます。

 

 

なぜバイエルンがEヘルス産業のホットスポットなのか


バイエルン州のビジネス拠点としてのクオリティは、9月初めに実施された調査でも再び証明されました。ハイテク分野の企業は、バイエルン州内の様々な利点から恩恵を受けています。

 

•    経済ニーズに合わせた最新の職業訓練制度と大学機関が、常に意欲的で専門的な資格を有する人材を保証しています。
•    行政からの様々な助成金は新規および既存ビジネスの設立と成長を促進しています。
•    バイエルン州と企業が立ち上げたインキュベーターやアクセラレータープログラムが革新的なスタートアップを支援しています。
•    エアランゲンにあるEITテクデジタルヘルス・ハブのような、業界内外の様々なネットワークを通して、若い企業であっても市場における経験が豊富な大企業とすぐにコンタクトが取れます。
•    バイエルン州デジタル化推進センター(ZD.B)に代表されるように、バイエルン州のデジタル化をさらに促進するための様々なプラットフォームやネットワークが存在し、これらは特に医療の未来とも深く関わっています。

 


これらの強い根拠を考慮すると、ますます多くの企業、特にEヘルス業界の企業がバイエルンに拠点を設け、成功することは全く不思議ではないでしょう。