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5分間インタビュー 株式会社ベネクス 専務取締役 片野秀樹

革新的スポーツウェア「リカバリーウェア」を通して新たな市場を作り出しているベネクスが昨年、ミュンヘンに子会社を設立した。初の海外拠点設立によって次のステージに入った同社の展望を聞く。

専務取締役 片野秀樹
専務取締役 片野秀樹

まず御社の事業と商品について教えてください。

株式会社ベネクスは、2005年に3人でスタートしたベンチャー企業です。「世界のリカバリー市場を創造し、そこに関わる人を元気にする」を設立時のビジョンとして10年間日本国内で展開してきました。現在社内の16名の専門スタッフと国内の協力工場、そして販売店の方々と共に休養時専用スポーツウェア「リカバリーウェア」を主力商品として活動しています。

このリカバリーウェアは、スポーツで疲労した後の休息時や夜の睡眠時に着用する専用スポーツウェアの新市場を切り開く商品として注目されてきました。商品は、機能性ウェア市場に含まれる商材となりますが、着圧により疲労物質の代謝を促す機能などとは違い、自律神経に働きかけ深い睡眠を促すことにより疲労回復をサポートする機能を持つものです。この機能は、いくつかのミネラルを練りこんだオリジナル特許繊維からもたらされています。

元々は、スポーツをする人のために開発された機能ではなく、介護の場において高齢者の肉体疲労予防や健康寿命の延長に役立てる商品として開発してきました。しかし、「スポーツをするアスリートが体を酷使して重度の疲労が溜まっている状態と高齢者が疲労によって体に不自由を感じている状態は似ている」といったことから、徐々にアスリートに着用されるようになり、着用者の間では休養時に専用ウェアを着ることが新しい習慣になるほど認知されてきました。さらには、スポーツをした後だけではなく、日常生活の疲労やストレスを軽減するという口コミがじわじわと拡がり、一般のビジネスマンや主婦などの着用者も増えてきました。

また、当社製サンプル付き書籍“疲れとり首ウォーマー(角川マガジンズ社)”も口コミにより65万部超のベストセラーとなり、さらなる愛用者への拡がりを後押ししています。このことを受けて、現在ドイツ国内においても同様の書籍発売に向けて準備を進めております。

 

 

昨年ミュンヘンに初めて海外法人を設立しました。設立に至った経緯と、ミュンヘンを選んだ理由はなんでしょう?

ミュンヘン進出は、同市が欧州におけるスポーツ市場の中心地であることが最大の理由です。そしてイタリア、フランス、オーストリア、スイス、そしてチェコ、ポーランドといった東欧各国などの周辺国へもアクセスがよい点も大きなメリットです。また、新しい商品・技術に対しての投資に積極的であり、最先端の技術をロジカルに受け入れる環境が一般市民にも浸透していることなども理由の一つです。さらには、日本からの直行便もあるミュンヘン国際空港を有し、観光名所も多く、人や交通のハブであり世界への情報発信地として重要な要所である点も理由の一つです。

初の海外法人の設立には、世界最大級のスポーツ展示会「ISPOミュンヘン」が大きく関わっています。この展示会は40年以上の歴史があり、各国のスポーツメーカーが出展し、世界100ヶ国以上の国々から来場者が集まります。この期間中に開催されるコンテストでは各分野の専門審査員らにより厳選に審査が行われ、その年の優秀な商品の表彰が行われます。今から2年間の2013年度のISPO に当社の“リカバリーウェア”は、休養時専用という革新性が評価され、金賞を受賞しました。この時、わずか7名の小さな日本企業でした。その企業規模に係わらず我々の製品は、その後関係者からの注目を集め、これ以降確実に認知が拡大し始めました。そして、これを契機にドイツへの進出にドライブがかかりました。

 

ミュンヘンではどのような事業がすすめられていますか?現地法人があることで得られたメリットはありますか?

当社は、これまで国内においてオリジナル繊維づくりから、休養ウェアの販売までまさに川上から川下まで一気通貫体制をとってきました。これはお客様のニーズや情報を的確に受け止め、スピーディーで、小回りの利く製品開発を行う一気通貫体制が理想と考えたからです。ここドイツにおいても国内同様に、一気通貫体制の地産池消型ビジネス展開を思考してきました。この地域に根差した体制をとるためには、多くの優秀な地元企業や各担当者からの協力や信頼を得ることが不可欠です。この意味から現地法人設立は大変有意義なものでした。

 

ドイツでのビジネスや生活について、どのような点に違いを感じますか?

ドイツを含むEU圏内で一番驚かされるのは国境に対する意識の違いでした。EU圏内では国境越えに対しては、日本の県境超え程度の気軽さであり、このため物流も手軽に、そして活発に行われています。この手軽さはビジネスにおいて大変有用です。しかしその反面、言語はもちろん法律や税金の違いは明確にあるため、特にオンラインビジネスにおいては多言語化や異なる税率・各国での納税の対応などが必要となります。手軽な物流に反して複雑な対応が混在するという、そのギャップに戸惑いました。

 

ドイツ法人から発信する今後の事業計画や展望を教えてください。

我々は、設立当初から“ものづくり”企業に止まらず、リカバリー(休養)市場を創造するという“ことづくり”思想を原点に発想を巡らせてきました。この我々の“ことづくり”思想とドイツ伝統の“ものづくり”思想の融合によるシナジー効果を発揮するために地産池消ビジネスモデルを採用し事業を組み立ててきました。これまで日本国内で培った“日本発・世界初”の独自の技術や発想をベースに、これから欧州ならではの用途開発やユーザー獲得を行い、ビジネスの発展を目指しています。さらに、研究開発においてもドイツに拠点を設け、ドイツやEU圏内の大学との共同研究を今後さらに積極的に進めていきたいと考えています。

我々は、世界一の疲労大国、そして超高齢化の先進国“ニッポン”からスタートし、休養市場を10年間創造してきました。そのパイオニア企業として、今後市場を欧州に拡大し、我々の目指すビジョン「リカバリー(休養)市場を創造し、世界の人々を元気にする」に向けてさらなる新しい10年のスタート切りました。