5 minutes with ... 2018年7月23日

5分インタビュー: Zenrin Europe GmbH 副社長 内野靖司氏

ゼンリンは福岡に本社があり、世界中に約3000人の従業員がいます。主に住宅地図帳やカーナビゲーションシステム向けの地図を作っている同社には既に長い歴史があり、今年で創業70年を迎えます。

ゼンリンは90年代にドイツ北部に進出し、20年間ドイツのノルドライン・ヴェストファーレン州で事業を行ってきましたが、この度イザール川のほとりミュンヘンに拠点を移しました。それにはどのような理由があるのでしょうか。バイエルン州は同社にとってどのようなメリットを提供できるのでしょうか。その答えを聞くためにミュンヘンのハイライトタワーを訪ねました。富士通やIBMワトソンセンターも入居しているこのオフィスタワーがゼンリンヨーロッパの新しい本社です。

タワーの入口でゼンリンヨーロッパの内野副社長がにこやかに迎えてくれました。エレベーターでハイライトタワー上階へと上がり、ゼンリンヨーロッパのオフィスへと通されます。窓に面して置かれた執務机、そこから外を眺めると、まるで鷲になったようにミュンヘン市を一望できます。百万都市でありながら、豊かな緑が広がっていました。


まず、御社の事業内容について教えてください。


わが社は今年で70周年を迎えます。私たちが自動車メーカーへ供給しているカーナビゲーションシステム用地図の主な市場は日本、インド、そして欧州です。ミュンヘンではBMWと共同で、同社の日本市場向けカーナビゲーション用の地図を開発しています。会社のモットーは「モノ売りから、コト売りへ」です。膨大な情報の地図データベースからお客様に必要なコンテンツを提供します。例えば自動運転向けの地図はカーナビに比べると正確で細かい情報が必要になります。車の制御システムにおいてはBoschなどドイツのシステムメーカーにも私たちは役立つサービスを提供しているのです。日本はヨーロッパに比べて道が非常に狭いのですが、ドイツのメーカーは日本の複雑な道路環境をイメージしにくいわけです。そこで、日本の道路の特殊性を明確にするためにドイツの顧客に近い場所にいる、ということが意味を持ってきます。

そもそもなぜミュンヘンに拠点を設けられたのですか。


1997年から2017年まで、ゼンリンヨーロッパの事務所はデュッセルドルフにありました。とはいえ、バイエルン州、特にBMWがあるミュンヘンと比べれば、そこは自動車産業が強いという地域ではありませんでした。翻って、ここミュンヘンでは即座に、簡単にパートナー企業とコミュニケーションをとることができます。スキーやオクトーバーフェストなどプライベートについても話しができます。お客様のすぐそばにいるということはとても重要です。更にシュトュットガルトのダイムラー社やインゴルシュタットのアウディ社も近い。ドイツの、そしてバイエルンの自動車メーカーと直接コンタクトが取れるメリットもあります。日本に入ってくる輸入車の90%はドイツ製で、特にBMW、メルセデス、VW・アウディです。

ハイライトタワーを選んだのは何故ですか?

私たちはお客様がミーティングに立ち寄ってくれるようなオフィスを希望していました。最初のころ、ゼンリンヨーロッパは暫定的に(ミュンヘン市内北東に位置する)ウンターフェリングにオフィスを置いていました。あまり知られていない場所にオフィスがあったために、お客様の側にいるというメリットが生かせておりませんでした。そこで、インベスト・イン・ババリアの助けを借りて、ミュンヘンエリアで広くオフィス物件を探しました。その結果、最終的にミュンヘン・ハイライトタワーを選んだのです。この建物はミュンヘンのオフィスビルで最も有名である上に、ミュンヘン市を一望できる素晴らしい眺めがあります。そのことは当然ながら私たちの社員にとっても日々の励みになっています。ハイライトタワーはミュンヘンを代表するオフィスビルですし、美しい会議室もあります。ですからお客様をお招きするにも最適の環境が整っているわけです。それによって、パートナー企業や顧客企業との協力関係を円滑に進めることができます。

バイエルン人の気質や習慣などで戸惑ったことや、逆に面白いと思ったことはありますか。

バイエルン人のビジネスカルチャーで特に困ったことはありません。面白いと思ったことは、ドイツ人が激しい議論の後に、まるで何事もなかったかのようにふるまうことです。仕事が終わるや否や、矛を収めて互いに仲良くやっていますし、根に持つことがありません。日本では考えられないのではないでしょうか。

それから、食事の時に仕事の話ではなく、スキーの話しをしたり、周囲と非常に打ち解けた付き合いができることも素晴らしいことだと思います。ドイツ人が仕事に対してオン・オフのスイッチを切り替える才能はすごいですね。日本人では残念ながらこうはいきません。どちらかというと日本人の場合、常に仕事のスイッチがオンのままですから。

それに、朝から晩まで人生をとことん楽しむという姿勢には驚嘆します。英国庭園では今日という一日を満喫している人、ビールを飲んでいる人をよく見かけますね。

インベスト・イン・ババリアをどのようにして知ったのですか?


インベスト・イン・ババリアのことは三菱UFJ銀行の担当者を通して知りました。インベスト・イン・ババリアが新規進出はもちろん、企業の拠点拡張などについてもサポートしているというアドバイスをもらいました。それからインベスト・イン・ババリアとコンタクトするまでには長い時間はかかりませんでした。

私たちのサポートはお役に立ちましたか?


もちろんです。私たちにとって、この支援は本当にありがたいものでした。拠点探しという本来のサポートもさることながら、交流機会の提供をいただいた、という点でも評価しています。いろいろ例はありますが、例えば市庁舎での賀詞交歓会などは他の日本企業と話しをするまたとない機会です。そういうことから、もし何か分からないことがあればいつでもインベスト・イン・ババリアに聞ける、という安心感があります。

バイエルンでのお勧めの観光スポットといえばどちらでしょうか?


夏に最もお勧めしたいのは(ミュンヘン市内の公園)ヒルシュガルテンです。大人たちはビアガーデンで楽しめますし、その間に子供たちは羊に餌をあげたり、外で遊ぶことができます。冬はガルミッシュ・パルテンキルヒェン(ミュンヘンから南東に約80㎞、オーストリアとの国境に位置するバイエルン州の都市)が私のお気に入りです。ミュンヘンから一時間半程度で行くことができ、ツークシュピッツェ(標高2,962m、ドイツ最高峰の山)でスキーをすることもできます。子供たちがスキー学校でスキーを習えるのもいいですね。いずれにしても、ミュンヘンにオフィスを持っていると仕事以外でもいいことがあります。他にはローテンブルク(ロマンチック街道沿いにある中世の趣を残した城壁都市)も気に入っています。古い建物のある非常に美しい歴史的な街です。それからノイシュバンシュタイン城もありましたね。こちらも負けず劣らず美しいのですが、観光客の数は相当です。

将来的にヨーロッパ、ドイツに進出を検討している日本企業に何か一言アドバイスをお願いします。


ゼンリンのヨーロッパ拠点をバイエルン州ミュンヘンに移したことは、とりわけ顧客の近くに、という視点からも本当に正しい決定でした。バイエルンに来てからお客様との関係が非常に密になったと実感しています。この場所にゼンリンがあることで、お客様との間に「私たち」という感覚が構築されました。これは非常に大きなことです。日本あるいはデュッセルドルフに居た時には感じ取れなかったこと、-例えばインダストリー4.0や、他の経済的な発展、注目すべきトレンドについて、ここにいれば共有することができるのです。

Zenrin Europeのオフィスは、1993年から2017年まで、デュッセルドルフにありました。とはいえ、バイエルン州、特にBMWがあるミュンヘンと比べれば、そこは自動車産業が強いという地域ではありませんでした。翻って、ここミュンヘンでは即座に、簡単にパートナー企業とコミュニケーションをとることができます。スキーやオクトーバーフェストなどプライベートについても話しができます。お客様のすぐそばにいるということはとても重要です。

 

お忙しい中、インタビューにお答えいただき、大変ありがとうございました。
内野様の益々のご活躍を心よりお祈り申し上げます

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Zenrin Europe GmbH

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ナビゲーションとマッピングソリューション

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ミュンヘン

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