#bytevaria 2021年1月28日

ミュンヘン量子バレー: ドイツ初の量子コンピューター・プロジェクト

将来有望な量子技術について、バイエルン州では既に重点的に研究を進めています。既存の知識を具体的なプロジェクトへと移行するために、研究機関は産業界と協同しています。そのひとつ、ドイツ初の量子コンピューター開発に取り組む「ミュンヘン量子バレー」プロジェクトが2021年1月11日に始動しました。

量子科学の先駆者としてのバイエルン州


ミュンヘン量子バレーはバイエルン州の研究機関による共同プロジェクトです。量子研究の専門家がメンバーとなり、ミュンヘンをドイツにおける量子科学の中枢にするべく取り組んでいます。

 

 

このプロジェクトにはバイエルン州から3億ユーロの資金が投入されています。また、ドイツが国として20億ユーロの予算を付けている、イノベーション国家を目指すという国策の枠組みからも、追加資金を得られるように努めています。これにより、ミュンヘンは今後10年ほどの間に、量子技術分野において国内外でさらなる研究を進めるための拠点へと成長することを目指しています。近い将来、専門知と最新鋭設備という組み合わせにより、技術の中枢として世界中の科学者をバイエルン州に引き付けることになるでしょう。

 

量子コンピューティングが技術の飛躍を可能にする


バイエルン州は科学の高い価値を早期に認識しており、重点的に量子技術の研究を支援しています。ドイツ初の量子コンピューターの開発が次のステップとして焦点を定めているのが次のような点です。

 

  • 既存のスーパーコンピューターを大幅に上回るパフォーマンス
  • 完全な盗聴防止を実現した通信システム
  • 量子技術の根本原理

また、このプロジェクトでは、量子コンピューティング・量子技術センター(ZQQ)と量子技術パークで、産業界の研究者や専門家の養成とスキルアップを積極的に行っています。ZQQで開発されたコンピューターは研究と経済に大きく貢献します。

 

  • 新素材探求のための量子シミュレーション
  • 電気・磁気の極めて精密な測定のための量子測定技術
  • 盗聴防止を施したデータ転送実現のための量子暗号技術
  • クラウドアクセス機能を備えた商用利用のための量子コンピューター
  • 量子コンピューター用ソフトウェアと従来型コンピューターのインターフェース
  • 企業がミュンヘン量子バレーからメリットを得る


量子技術パークの最先端のインフラは科学の飛躍的進歩に寄与するだけでなく、バイエルン州のスタートアップ企業や既存のテクノロジー企業にも恩恵をもたらします。この研究成果が具体的で革新的な利用の実現に結びつきます。