Digitalwirtschaft2017年1月20日

バイエルン州のITセキュリティ - スマートファクトリーのセキュリティのために

インダストリー4.0は、価値創造のとてつもない向上を企業に約束する。もちろんバイエルン州も例外でなく、企業が技術開発から利益を得るチャンスがある。スマートファクトリーで新たなコンセプトを実行する際には必ずITセキュリティが重要になってくる。内部セキュリティに関するあらゆる疑問に対して、バイエルン州の企業は積極的な支援を期待してよい。

 

サイバー犯罪の対抗手段としてバイエルン州のノウハウが求められている

産業立地としてのバイエルン州と、そこに拠点を置く企業の切り札は技術的なノウハウだ。technisches Know-how

それはサイバー攻撃への対抗手段として、産業種別に関わらず当然ながら最も望まれていることである。サイバー攻撃による経済的損失はドイツ国内だけで年間440億ユーロに上り、これは国内総生産の約1.6%にあたる。しかし、年間3500億ユーロの損害を出している世界経済と比べれば、これでもわずかなものだ。つまり、価値の高いデータをいかに保護するか、という課題はそれぞれの企業だけに委ねられているのではない。バイエルン州にはITセキュリティ分野における数々の職業、専門分野、イニシアティブがあり、経済活動を守るための予防とアフターケアを提供している。

 

損害を未然に防ぐために

バイエルン州は既に2013年から独自のサイバーセキュリティ戦略を開始している。サイバー犯罪に対する中心的な機関としてバイエルン州警察があるほか、バイエルン州憲法擁護庁内にZAC(Zentrale Ansprechstellen Cybercrime=サイバー犯罪中央相談室)Cybercrime (ZAC) やCAZ(Cyber-Allianz-Zentrum Bayern=サイバーアライアンスセンターバイエルン)Cyber-Allianz-Zentrum Bayern (CAZ) が設置され、企業・大学・事業主に対するスパイ行為や工場システムへの攻撃などに対する相談窓口となっている。これらの相談先は被害が出てから対応するのではなく、どのようにサイバー攻撃に備えることができるのかという対策も助言している。目的に応じた助言、役員や従業員への啓蒙、個別の講演や対話によって息の長いセキュリティパートナーとして機能することを目指す。助言の際、最優先となるのは常に信頼されていること、だ。助言を求める企業は、届け出義務のない場合、起訴を希望するかどうかを独自に判断する。それによって企業は周囲に知られる前に、また、そのためにこうむる経済的な損失を受けずに済む。更なる攻撃を防ぐために、攻撃対象になり得る企業に対して匿名で技術情報が提供され、それにより企業は対策を取ることができる。

後悔するくらいなら慎重に

当然、ことが起こる前にあらゆる手段で損害を最小限にとどめるのが理想だ。例えばフラウンホーファー応用・統合セキュリティ研究所Fraunhofer Institut für Angewandte und Integrierte Sicherheit (AISEC) はあらゆる業界の企業を支援する。システム、製品、供給を守るため、同研究所ではIT基盤システムと製品のための高度なセキュリティ技術を開発し、包括的機能、相互運用、適応およびコンプライアンス試験を実施する。AISECの顧客はあらゆる業界-特に情報通信、自動車メーカーとサプライヤー、物流、航空、そしてエンジニアや自動化技術といった分野の製造業者から下請事業者、消費者まで多岐にわたっている。協力できる可能性は多様に広がる。AISECは企業からの委託研究以外に、詳細なセキュリティ分析を行ったり、EUや連邦、州レベルの提携プロジェクトへの協力機会などを企業に提供している。

 

グローバル企業、例えばインフィニオン・テクノロジーズとの共同プロジェクや、ミュンヘン工科大学などの国際的な大学との戦略的パートナーシップは、AISECが取り扱う重点課題をより強固にする。産業セキュリティ分野も重点課題となっており、AISECは工業の自動化のための安全メカニズムを研究する。

 

このような支援により、バイエルン州に拠点を置く企業はインダストリー4.0へのチャレンジに際して最適な対策ができており、かつそれを価値向上へとチャンスに変えることができる。

関連記事