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バイエルン州のデジタル創業センター
様々な企業の設立に対して、バイエルン州では40に及ぶ一般創業センターあるいは技術創業センターが支援しています。更にバイエルン州には19のデジタル創業センターがあり、その名の通りここでは主にデジタル化と既存ビジネスモデルに対するデジタルソリューションの導入支援を行っています。この19のセンターがどこにあるのかを具体的に見てみましょう。
バイエルン州の創業センターはどのようにスタートアップを支援している?
バイエルンの全ての創業センターは、それが一般創業センターであるか、ある特定分野に特化しているかに関わらず、企業の質を高めるための様々な可能性について教えてくれます。アドバイスやコーチングに加え、新たな事業開始のために必要となるオフィスやコワーキングスペースを安価に借りられる方法についても教えてもらえるかもしれません。ただし、賃貸契約は最長5年となっているため、入居者は期限満了までに新たな事業所を探す必要があります。バイエルン州各地の創業センターでは、新規の革新的な企業がセンターを主に利用できるように、古くからある地元企業が長い間安価なワーキングスペースを占有することがないようにしています。バイエルン州では州政府の肝いりで起業支援を行う“Gründerland Bayern(グリュンダーラント・バイエルン=「創業地バイエルン)などのイニシアチブが連携し、州内でコンスタントに新たな企業が生まれ、それらの企業が成功できるような支援とコミュニケーションのためのネットワークづくりを目指しています。
バイエルン州の創業センターが際立っている理由は?
多くのセンターは、スタートアップ企業を目的に応じて集中的にサポートするため、特定の技術部門に特化しています。具体的にバイエルン州のどのセンターがどの分野に特化しているかは、こちらのBayStartUPのホームページにてご覧いただけます。BayStartUPは、バイエルンでの起業に向けた初めの一歩を支援しており、州内の起業家、企業、創業センターを引き合わせることにより、それらの連携から相乗効果を生み出す役割を果たしているのです。
それに加え、バイエルン州の創業センターは大学や商工会議所といった他の機関ともよく連携しています。センターの活動には、新規のスタートアップ企業だけでなく地元企業も参加していますが、これは両者にとってさらなる発展のチャンスとなり得ることです。つまり、地元の企業はスタートアップが持つ新しい技術からいち早く利益を得られる一方、スタートアップの起業家たちは自身の会社の成長のため、それらの企業が持つコンタクトや資本を活用することができるというわけです。
センターの運営体制は?
バイエルン州のデジタル創業センターは、州経済省が1億2000万ユーロの予算で支援しており、ドイツ国内での起業およびイノベーションにおける指導的地位を確立しようとしています。インベスト・イン・ババリアはBayStartUPおよび各地のセンターと協力して、バイエルン州に拠点を置こうと考える海外からのスタートアップ企業に対し、「オイス・イージー・スタートアップ・パッケージ」という無料の支援サービスを提供しています。
バイエルン州のデジタル創業センター 概観
ここからはバイエルン州にある、デジタル部門に重点を置く19の創業センターについて、以下にバイエルン州の7つの行政区ごとに紹介します。
ウンターフランケン地方 Unterfranken
1. Alte Schlosserei in Aschaffenburg
アシャッフェンブルクのアルテ・シュロッセライ:
パートナーであるローア市の拠点とも協力して主にデジタル化に関するビジネスプランや創造的破壊をもたらすビジネスモデルを支援しています。活動の中心はアドバイスやスクーリングを通じた起業家個人の成長につながる育成、および若く意欲的な起業家のサポートです。
2. Starthouse im Spessart
シュペッサートのスタートハウス:
ローア・アム・マインの中心に位置するスタートハウスは、近代的な設備とラウンジ付きの会議室を備えており、若い起業家たちへ企業設立に向けた第一歩を踏み出すための最良なサポートを提供しています。
3. Zentrum für digitale Innovationen (ZDI) Mainfranken
マインフランケンZDI(Zentrum Digitale Innovation):
マインフランケンZDIは、ヴュルツブルク、シュヴァインフルト、バート・キッシンゲンにそれぞれ拠点を持ちますが、これら3つは緊密に連携しているため、1つの大きな地域横断型センターとみなされています。ここでのサポートは企業設立の前段階に重点が置かれており、学生に対して起業に向けた意識向上を促すセミナーの他、アイデアを見つける方法を学ぶ「アイデア・ラボ」や製品の試作モデルを実際に作製できる「起業家アトリエ」など、幅広いサポートを得ることができます。
ミッテルフランケン地方 Mittelfranken:
4. ZOLLHOF - Digitales Gründerzentrum Mittelfranken in Nürnberg
ツォルホーフ(ニュルンベルク)
ツォルホーフでは様々なビジネス分野が出会います。このセンターは、デジタルビジネスの発展に必要となるオフィスやサービスを提供するだけでなく、最初の試作モデル製作のためのスペースを提供するなど、起業に向けたより実践的な準備を可能にします。加えてツォルホーフでは、主催している多くの業界横断プログラムを活かして、既存企業のイノベーションも支援しています。これらのプログラムには、例えば早期から利用され得るものとして、エアランゲンにある医療系インキュベーター、メディカル・バレーとの協同で立ち上げられた「デジタル・ヘルス・ハブ in ニュルンベルク・エアランゲン」があります。これは、デジタルと医療の分野に重点を置いたスタートアップ企業を互いに結びつけることで、そこから生まれる相乗効果を企業成長のできる限だけ早い段階から認識、かつ利用してもらうことを目的とするものです。
オーバーフランケン地方 Oberfranken:
5. Lagarde1 – Zentrum für Digitalisierung und Gründung in Bamberg
ラガルデ1:バンベルクのデジタルビジネス起業の中心:
ラガルデ1はコーブルク市にあるインキュベーター「ツークンフト・コーブルク・デジタル」と連携して、主に地元企業の販売や業務プロセス、組織と人材育成、3Dプリンティング、プロセス最適化といった分野におけるデジタル・トランスフォーメーションをサポートしています。
6. Initiative Zukunft.Coburg.Digital in Coburg
ツークンフト・コーブルク・デジタル:
このセンターは、上述のバンベルクと連携しており、更に独自にラガルデ1と類似の分野における支援を提供しています。
7. Einstein1 - Digitales Gründerzentrum Oberfranken
アインシュタイン1:オーバーフランケン:
アインシュタイン1はホーフ大学のキャンパスに隣接し、ビッグデータとその産業応用、エネルギー、医療に重点を置いています。
オーバープファルツ地方 Oberpfalz:
8. Digitale Gründerinitiative Oberpfalz (DGO)
オーバープファルツ・デジタル起業家イニシアチブDGO(レーゲンスブルク):
DGOはオーバープファルツ地方において、起業文化を定着させることを目標としています。その実現に際して新たな起業家の活動を促進し支援するべく、講演会、コーチング、ワークショップ、産学のネットワークづくりといった様々なサポートを行っています。
レーゲンスブルク市の他にも、以下の都市にDGOの拠点が置かれています。
9. Amberg アムベルク
10. Weiden ヴァイデン
11. Digitale Gründerzentren im Landkreis Cham (IGZ)
シャーム郡のデジタル創業センターIGZ:
バイエルン州にはあまたのイノベーションおよびビジネスインキュベーターが存在しますが、IGZはとりわけデジタルビジネスに携わる起業家、企業、従事者、更に学生を対象にセミナー、会議、専門家フォーラムなどを開催し、スタートアップ企業を支援しています。起業家にとってはIGZが有するアプリケーションセンターやイノベーションラボだけでなく、地域の緊密なパートナーシップも利用できることが魅力です。シャーム郡に加え、以下二つの郡にもIGZの拠点が設けられています。
12. Roding ローディング
13. Furthフュルト
オーバーバイエルン地方 Oberbayern:
14. brigk - Digitales Gründerzentrum der Region Ingolstadt
brigk:インゴルシュタット地域のデジタル創業センターbirgkはコーチングやスクーリングといった支援の代わりに、既に具体的なビジネスプランを持つ起業家にとってはより有益なオフィス、コワーキングスペース、ラボ、イベントなどによる支援を行っています。特に注目したいのは「brigkAIR」と呼ばれるプロジェクトで、これはbirgkがアウディやルフトハンザといった業界パートナーと連携して、3次元モビリティ分野(ドローンや空飛ぶタクシーによる航空運輸を含む自動運転技術)における革新的な企業を支援するものです。
15. Stellwerk 18 in Rosenheim
ローゼンハイムのシュテルヴェルク18:
シュテルヴェルク18は起業をサポートする創業センターというより、むしろ一つの巨大なキャンパスのようです。デジタル・ビジネスプランを作る上で重な起業家同士のコミュニケーションや、そこから生まれる相乗効果を見出すためのきっかけが溢れています。センターの近くに多様な企業が立地していることから、企業ネットワークを利用したミーティングを通じた活動が行われています。
16. WERK1 – Digitales Gründerzentrum München
WERK1:ミュンヘンのデジタル創業センター:
バイエルン州にある多くのインキュベーターにとって、WERK1はその手本ともなる存在です。ここで生まれた手法やアイデアが、他の多くのインキュベーターにおいても採用、実施されるということがよくあります。ワークスペースの提供やコーチングといった通常のサポートの他に、ここではゲーム産業のインキュベーター「ゲームズ・ババリア」から支援を得ることもできます。またそれに加え、保険・金融産業でブレークスルーを起こす潜在能力を持つスタートアップ企業に重点を置いた「インシュアテック・ハブ」の拠点もここにあります。
ニーダーバイエルン地方 Niederbayern:
17. Gründerzentrum Digitalisierung Niederbayern (GZDN)
ニーダーバイエルン・デジタル化推進センターGZDN:
GZDNは、専科大学を有するパッサウ、ランツフート、デッゲンドルフの各地域におけるネットワークの形成と共同事業の設立を主眼としています。そのためGZDNは、同時にこの3か所を対象としており、この地方における唯一のデジタル創業センターとして重要な役割を担っています。ここでは特に、上述の各専科大学の持つ潜在的能力が重視されています。
シュヴァーベン地方 Schwaben:
18. Digitales Zentrum Schwaben (DZ.S)
デジタルセンター・シュヴァーベンDZ.S:
DZ.Sは今日、シュヴァーベン地方のデジタル産業における起業家や既存企業、研究者たちにとって、中心的なネットワーク形成のプラットフォームとなっています。このセンターでは既存企業のデジタル化の推進をより一層重要視しています。
DZ.Sはアウクスブルクの他に以下に拠点を置いています。
19. Kempten ケンプテン
成長過程にあるアウクスブルクのスタートアップ企業cioplenu
Congratulations to the #startup @cioplenu for their €4.2 Million seed funding! #VC #VentureCapital @CherryVentures @stadtaugsburg @augsburgruendet @dzschwaben #GründerlandBayern https://t.co/rPIrwEEd0F
— Stefan Schimpfle (@StartUpAugsburg) March 4, 2020
創業センターの効果
バイエルン州にあるデジタル創業センターはそれぞれ独立して存在しているのではなく、各々が他のセンターの能力を活用しながら全体として利益を得られるようBayStartUPがその活動を組織しています。BayStartUPはニュルンベルクにその本拠地を、ミュンヘンに支部を置き、バイエルン州のスタートアップ企業にとって中心的な相談窓口となっています。バイエルン州にはなぜそれほど多くのスタートアップ企業が存在するのかについては、過去のブログ記事「スタートアップに魅力的な創業地バイエルン州」をぜひご一読ください。