Electromobility 2019年2月18日

バイエルンの超高速充電ステーション:フル充電までたった3分

バイエルン州が誇るBMWとシーメンスも参加する共同研究事業「ファスト・チャージ」が、新しい超高速充電スタンドの開発に成功しました。これは、e‐モビリティの将来にとって画期的な出来事です。

e‐モビリティの長所と短所を論じる際に、長い間争点とされてきたことはいくつかありますが、その一つが充電時間でした。内燃機関を備えた車であれば、ガソリンスタンドで5分以上費やさないのが当たり前です。しかし電気自動車の場合は、フル充電に2~3時間かかります。当初、このことが電気自動車への乗り換えには絶対的な障壁となっていました。e‐モビリティ市場はしかし、既にこの障害を取り除くために動いています。高速充電の研究とインフラ整備は、現在その両方が急速に進んできています。

その進歩の1つが、2016年7月に始動した研究プロジェクト「ファスト・チャージ」です。このプロジェクトでは、バイエルン州産業界を率いるBMWとシーメンスが主導的な役割を果たしています。他にもアレゴ(Allego)、フェニックス・コンタクトE‐モビリティ(Phoenix Contact E-Mobility)、ポルシェがパートナーとしてこのプロジェクトに参加しています。ガソリン車と同じくらい速く、簡単な充電を実現することを目標にしています。業界を超えた技術革新のおかげで、「ファスト・チャージ」は既にこの目標をほぼ達成しつつあります。プロトタイプの超高速充電スタンドはバイエルン州のウルムとアウクスブルクを結ぶアウトバーン8号線上の、正確にはイェッティンゲンとシェパッハの間にあります。驚くべきことにこの充電器の最大出力は450kWにもなります。ドイツの道路で現在使われている充電スタンドの約90%が最大出力42kWまでしかないことと比較してみると、この新しい充電スタンドの凄さがお分かりいただけるでしょう。「ファスト・チャージ」の充電スタンドは現在使われているスタンドの平均と比べて10倍以上性能が良いのです。

イェッティンゲンとシェパッハ間に設置されているFastCharge高速充電スタンド (出典:www.siemens.com/press)

しかし、今の電機自動車はまだこの充電器に対応していません。この充電器で充電できるようにするためには車に搭載する充電とバッテリーの特別な技術が必要です。ミュンヘンに本社を置くBMWは、研究のために設計変更されたi3モデルで、充電にかかる時間をこの未来仕様に近づけたデモンストレーションを行いました。プロトタイプの充電ステーションで残量10%から80%まで充電するために要した時間はたったの15分でした。100㎞の走行に必要な充電は、たったの3分で完了しました。

このプロジェクトで使用されているシーメンスのエネルギー供給システムは、バイエルン州がモビリティ拠点としていかに持続可能的なポジションにあるか、そして将来のe‐モビリティに向けていかに協力しながら取り組んでいるかを示しています。またドイツ連邦交通・デジタルインフラ省がこの「ファスト・チャージ」プロジェクトに7800万ユーロの支援をしていることも強調しておきましょう。加えてバイエルン州のアイヴァンガー経済大臣は先ごろ、バイエルン州での充電スタンド設置に対して更なる支援拡大を発表しました。公のスペースで利用可能な充電スタンド7000機を2020年までに設置することを目標にしています。現時点で約3000機を数える充電スタンド、その概要はhttps://ladeatlas.bayernでご覧ください。