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「ハイテクアジェンダ・バイエルン」-未来への投資
人工知能、ロボット、デジタル化-これはバイエルン州のハイテク産業の将来を語るときによく聞かれるキーワードのうち、たった3つにすぎません。バイエルン州政府は「ハイテクアジェンダ・バイエルン」と銘打ち、人工知能、スーパーテクノロジーに注力します。将来に渡り持続可能な社会を維持するためにだけでなく、バイエルン州のテックハブとしての地位を拡大することが目標です。「ハイテクアジェンダ・バイエルン」はどのような政策で、どれほどの予算が組まれているのでしょう。
「ハイテクアジェンダ・バイエルン」とは?
2019年末にバイエルン州のマルクス・ゼーダー州首相が州議会で「ハイテクアジェンダ・バイエルン」のコンセプトを発表しました。既に進められているバイエルン州の技術戦略を強化、拡大するための新たな政策です。「10年後にもバイエルン州がチャンピオンズリーグでプレイするためには、研究開発エンジンに火を点けなければなりません」とゼーダー州首相。特に将来のカギとなるのが人工知能です。そのためには現状に甘んじることなく、ハイテク産業、スタートアップ、研究機関の拠点としてこの分野でも大きな躍進を遂げる必要があります。
「ハイテクアジェンダ・バイエルン」4本の柱
「ハイテクアジェンダ・バイエルン」には4本の柱があり、合計20億ユーロの予算がつけられています。4本の柱とは:
- 人工知能とスーパーテクノロジーの促進(6億ユーロ)
- バイエルン州総合大学のためのアクセラレータープログラムの実施、ならびにモバイルネットワーク再編と拡張(6億ユーロ)
- 単科大学の大規模な改革(4億ユーロ)
- 特にデジタル、スタートアップ、自動車産業分野で州経済を支える持続可能な中小企業を強化(4億ユーロ)
ここでスーパーテクノロジーと言われているは、量子コンピューティング、航空宇宙、クリーンテクノロジーです。具体的には、この予算で2023年までにバイエルン州内の大学で教授1000人、学生1万人受け入れられる体制が整えられます。
デジタル、人工知能、スーパーテクノロジーの優れた研究者をバイエルンに
「ハイテクアジェンダ・バイエルン」が目指しているのは研究と教育の促進です。そのためには、デロイトのレポートが既に指摘しているように、例えばトップ・テック・ハブとしての地位を強化する必要があります。20以上の高等研究機関が助成の対象で、ミュンヘン工科大学、ニュルンベルク・エアランゲン大学などのバイエルン州にある大学と協力し、優れた研究者や企業をバイエルン州に呼び込むことを目指します。現地経済との強固な連携こそが、研究成果やイノベーションを応用へと直接つなげることができるからです。
特に地方都市に先端研究の施設が新設される計画が作られています。
ヴュルツブルク大学ではデータサイエンス、ニュルンベルク工科大学では先端テックハブ、エアランゲン・ニュルンベルク大学ではデジタルヘルス、インゴルシュタット工科大学では人工知能とモビリティに、それぞれ重点が置かれます。
ミュンヘンを世界的な人工知能センターに
州都ミュンヘンは「ハイテクアジェンダ・バイエルン」で特別な役割を担います。ミュンヘン大学、ミュンヘン工科大学、フラウンホーファー研究所と共にミュンヘン市内とその周辺地域は研究開発集積地となります。現在既にある以下のような研究機関もそれにより恩恵を受けます。
- ミュンヘンスクール・オブ・ロボティクス&マシンインテリジェンス Munich School of Robotics and Machine Intelligence
- フラウンホーファーAISEC(応用・統合セキュリティ研究所)Fraunhofer-Institut für Angewandte und Integrierte Sicherheit
- フラウンホーファーIKS(コグニティブ・システム研究所)Fraunhofer-Institut für Kognitive Systeme
更に欧州のAI研究の拠点となるELLIS (European Lab for Learning & Intelligent Systems/学習および知能システムに関するヨーロッパ研究所)はミュンヘンに開設される予定です。また、既にミュンヘンに設立されることが決まっているAIミッション・インスティテュートやメトロポリタン地区ニュルンベルクとの強力なネットワークにより、シームレスで活発なスタートアップの現場と人工知能の革新的な地域が誕生します。ミュンヘン工科大学のトーマス・P・ホフマン学長は「バイエルン州のこの計画は今まさに必要なもので、力強く、指標となるものだ」と述べています。
バイエルン州デジタル化推進プログラムも「ハイテクアジェンダ・バイエルン」で恩恵
デジタル化推進プログラムの下で進められている州内のデジタル関連の研究開発は「ハイテクアジェンダ・バイエルン」により、持続可能なものとなります。特に産業界での研究と応用を促進する共同プロジェクトへの効果が期待されます。とりわけ企業、研究機関、スタートアップの協力が推進されています。人工知能やスーパーテクノロジー分野のイノベーションと新製品の開発が大いに期待されます。バイエルン州のデジタル化推進プログラムは第一に情報通信、電子システムの応用分野を対象にしたものです。
「ハイテクアジェンダ・バイエルン」をアップデート:
2021~2022年には更に9億ユーロの予算が「ハイテクアジェンダ・バイエルン」に上積みされます。この「ハイテクアジェンダ・プラス」は、特に航空宇宙、情報工学、人工知能、クリーンテック、水素の研究を行っているバイエルン州内の大学の既存ポストや講座に、スピーディに予算を振り分けます。また、量子技術とライフサイエンス分野では新たなクラスターの立ち上げが予定されています。