Swabia 2015年3月09日

アップルCEO隠れたチャンピオン企業を訪問

独シュヴァーベン地方にガラスファサードの老舗メーカー、ゼーレ社がある。アウグスブルク近郊のゲァストホーフェンに本社を置くこの中堅企業に、2月末、米アップル社からティム・クックCEOが訪れた。ゼーレ社は長年アップルに部品を提供しており、カリフォルニア州クパティーノに建設中のアップル新社屋「Campus2」の外装材は同社が手掛ける。

ゼーレ社で作られた外装材はパートナー企業のヨーゼフ・ガルトナー社で裁断される。ヨーゼフ・ガルトナー社はアルミやステンレス製ファサード建材の加工に特化した企業だ。いずれもシュヴァーベン地方に本社を置く2社は、共に高い技術力によって最高の製品を生み出すことで高い評価を得ており、信頼のおける革新的な企業として世界に名をはせている。ドイツ南西部、バイエルン州とバーデン・ヴュルテンベルク州にまたがるシュヴァーベン地方の企業は、その発明家精神と手先の器用さで知られる。

 

 

 

 

不可能を可能にする - 幅14m、高さ3.2mの巨大な800枚のガラスがゼーレの子会社、ゼダク社で開発された。このガラスがヨーゼフ・ガルトナー社の手を経て米アップルの「Cumpus2」のファサードとして利用される。ゼダク社はこのために220トンのオートクレーブ(圧力容器)を導入した。通常、航空宇宙産業分野以外で使用されることはない装置だ。

 

親会社であるゼーレ社は大胆な建築デザインを実現する技術で世界的に有名である。ニューヨークの街に現れた奇抜なデザイン「アップル・キューブ」や、北京のナショナルスタジアム「鳥の巣」、フランクフルトにある欧州中央銀行の「ユーロタワー」など、ガラスの建築で時代を代表する優れた業績を残している。

 

ティム・クックCEOはゼーレ社の製造現場のあらゆるものに驚嘆した。創業者ゲルハルト・ゼーレ氏は、企業の規模の違いやアメリカとドイツという距離を越えて、アップル社とゼーレ社の間には非常に強い信頼関係が培われ、そして協力関係が築き上げられてきたと語る。

 

どんなすばらしいプロジェクトがこの場所で進んでいるのか、同社があるゲァストホーフェン周辺ですら知っている人は少ない。ゼーレ社は典型的なバイエルン州の「隠れたチャンピオン企業」だ。現在、1000人の従業員が働いている。近隣には大学や研究機関があり、専門的な技術や知識を持つ人材も揃う。そのことが革新的なソリューションや新たな製品のアイデアの源となっているのだ。